転造加工とは?
転造加工は雄ねじの加工や、歯車などのギア関係部品の加工に広く用いられ、加工物を回転させながら加工する方法です。ローリング加工といわれたりもします。
転造加工は、素材に強い力を加えることで、素材を圧縮したり膨張したりして成形する塑性加工(そせいかこう)の一つです。棒状の素材(ワーク)を 「転造ダイス」と呼ばれる断面がねじ山の形をしたまるい工具に強い力で挟み込み、盛り上げることで成形させます。
転造加工のメリットは、高い強度を持つことです。
切削加工では余分な部分をそぎ落としたり削り落したりして形を作りますが、転造加工では素材が圧縮、凝縮されるため、ファイバーフロー(繊維状金属組織)が切断されません。さらに強い力で押し込まれた金属繊維は、圧縮されることで密度が高くなり加工硬化を起こします。よって、転造加工品は切削加工品と比較して高い強度を持ちます。
転造加工は光沢のある仕上がりです。
転造加工が施された表面は、研削されたダイスによって押し当てられて成形されるため、切削加工品と比較して非常に面粗度が良好です。光沢を帯びた仕上がりが得られます。
転造加工は大量生産にオススメ!
転造加工は切削加工と比べて手間がかからず、加工時間が短いため、生産性が高い=大量生産に最適な加工方法です。
(少量の試作などは切削加工がオススメ)
転造加工の種類
転造加工では、転造盤と呼ばれる加工装置を使います。転造盤は、使用する転造ダイス(工具)の種類やその加工法の違いによって、数種類に分類されます。部品の表面には、ダイスの形状が転造されるので、ダイスは加工したい形状に合わせたダイスが必要になってきます。代表的なものとして「平面ダイス転造方式」「丸ダイス転造方式」「プラネタリ転造方式」が挙げられます。
平面ダイス転造方式
平面ダイス転造方式とは、平面な板状のダイス(工具)を用いる加工方法です。2枚の平面ダイスで加工物をはさみ、一方のダイスは固定させたまま、もう一方のダイスを平行方向に動かして加工を行います。生産性の高い加工方法であるため、汎用ねじの大量生産に用いられます。
2枚の平ダイスで加工物をはさみ、両者のダイスを同じ速度で反対方向に運動させる加工方法もあります。
丸ダイス転造方式
丸ダイス転造加工とは、円筒状の丸ダイス(ローラーダイス)を用いる加工方法です。加工物を2~3つの丸ダイスではさみ、ダイスを同一方向かつ同じ速度で回転させながら加工を行います。ダイス間の距離は自由に変更できるため、ねじ転造以外の様々な部品加工に用いられています。
他の2種類の加工方法との大きな違いは、加工時の材料の供給と排出が同じ場所で行われる点で、生産性は平面ダイス転造加工やプラネタリ転造加工よりも劣ります。
プラネタリ転造方式
プラネタリ転造加工とは、アーチ形状をしたセグメントダイスと呼ばれるダイス(工具)と丸ダイスを用いる加工方法です。固定されたセグメントダイスの内側で丸ダイスを回転させ、その間に加工物を送り込んで加工を行います。
生産性は高く、平ダイス転造加工と同様に汎用ねじの大量生産によく用いられている加工方法です。ただ、加工中にダイス間の距離の変更はできないため、丸ダイス転造加工より加工の応用性は下がります。
転造加工で作られる主なねじ製品
・ねじ
・歯車
・ローレット
など
POINT:「転造ねじ」と「切削ねじ」の違いって?
一般的に市販されているねじは転造ねじになります。転造ねじの場合、材料を塑性変形させることで成形するため、強度が強いねじを作ることができます。一方、切削ねじは、加工のしやすさから、特注品などのさまざまな形状のねじを作る際に用いられます。
転造加工で使用される主な材料
転造加工で加工可能な金属には、鉄、アルミニウム、真鍮、ステンレスなどがあります。
転造加工に用いる材料は、材質の弾性(伸び率)と塑性の性質(張力)が重要です。
主な転造加工に適した材料とは?
- 伸び率が5%以上で、張力が最高1700N/mm2まで
- 押込み硬さを表す尺度であるHRC硬度(ロックウェル硬さ)が20以下
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