ねじの表面処理カタログ
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- RoHSとは?
- ねじの表面処理Q&A
クロメート
正式名称は「有色クロメート」 電気亜鉛めっきの上にクロメートの化成処理を施したものです。以前はもっともよく使用されていた亜鉛メッキです。RoHS規制等の影響もあり、現在は6価クロムを使用しない環境対応のめっきに移行が進んでいます。
クロメート→環境対応に移行〈三価クロメート〉
ユニクロ
正式名称は「光沢クロメート」 電気亜鉛めっきのうえにクロメートの化成処理を施したもの。耐食性は有色クロメートに比べ多少下がります。現在は6価クロムを使用しない環境対応のめっきに移行が進んでいます。
ユニクロ→環境対応に移行〈三価クロメート〉
黒色クロメート
黒色亜鉛めっきとも呼ばれます。電気亜鉛めっきの上に硝酸銀などを含んだクロメート処理を施すことで黒い色にしています。現在は環境対応のため、三価黒クロメートめっきへと移行しています。耐食性は光沢クロメートに劣ります。
黒クロメート→環境対応に移行〈三価黒クロメート〉
三価クロメート
六価クロムを使わない電気亜鉛めっきです。有色クロメート・ユニクロの環境対策品として移行が進んでいます。
現状ねじに施す電気亜鉛めっきの中では最もポピュラーなめっきです。6価クロメートのような自己修復性はありませんが、コバルトやシリカによって耐食性を向上させています
三価黒クロメート
六価クロムを使わない電気亜鉛めっきです。
黒亜鉛めっきの環境対応品として移行が進んでいます。
以前に比べ黒い色が安定してきました。
三価カラー
電気亜鉛めっきの上に、三価クロメート皮膜をはり、薄いアルカリで表面をはがして、染料を使い色を付けていきます。
多彩な色に対応が可能です。『赤・青・黄・緑・紺・金・水色・紫など』き。
ゼロウィスカS
ゼロウィスカ処理を行った三価クロメートめっきです。
永久にウィスカを発生させません。
従来の亜鉛めっきのラインを使えるので比較的安価で処理が可能です。
ノンクロムホワイト
クロムを全く含まない完全環境対応型の表面処理です。
六価クロメートのように皮膜に自己修復性があるため、有色クロメートと同等の耐食性があります。環境調査などの余計な手間を省くことが可能です。
今主流の三価クロメートも三価クロムを含むことからこのノンクロめっきは今後採用が進む可能性があります。現状の流通量は少なめです。
ゼロクロムS
クロムを全く含まず、ウィスカ(極細い針状の亜鉛の単結晶)を発生させないゼロウィスカ(ノンウィスカ)対応めっき。
ノンクロブラック
ノンクロホワイトの色が黒いもの。クロムを全く含まない完全環境対応型の表面処理です。
ニッケル
銅や下地用ニッケルの上に光沢剤入りのニッケルメッキを施します。
下地に銅を貼ったものは区別するため胴下ニッケルと呼ばれることもあります。
黒ニッケル
ニッケルめっきの上に黒亜鉛・ニッケル合金めっきを薄く施します。耐食性はニッケルメッキとほぼ同等です。やや茶色っぽい黒色に仕上がることが多い為、濃い黒色を使用したい場合には不向きです。
クローム
正式名称はクロム3号。別名「ガラクローム」
ニッケルメッキの上にクロムめっきを施します。
表面に酸化皮膜をつくり、不動態化しやすいので大気中ではほとんど変色をみせず、長い間美しい外観が維持されます。硬度が非常に高く、耐摩耗性にも優れます。
黒クローム
ニッケルメッキの上に黒色クロームめっきをします。
バレルでめっきができないので、一本ずつつるしてめっきをします。高価なめっきですが、重厚感があります。黒亜鉛めっきでは経年変化で黒味が薄くなりますが黒クロームは濃い黒色が長持ちします。
ストロンジング
亜鉛と鉄の合金めっき。耐食性がよく亜鉛めっきの3倍以上です。
本金
ニッケルメッキの下地の上に金を貼ります。金はかなり安定した物質なので高温での酸化にも強いです。導通性にも優れるため電子部品に大量に使用されています。
三価ステンコート
亜鉛ニッケル合金めっきのジンロイの下地の上に三価クロメート処理をして、さらにその上に無色の防錆コーティング剤を施したもの。
見た目・耐食性ともにステンレスに近くなります。
溶融亜鉛
ドブめっきと呼ばれることが多いです。溶かした亜鉛にドブ漬けします。コストに対して耐食性がいいのが特徴です。ピンホールや傷を犠牲的に防食してくれます。
無電解ニッケル
通称カニゼンメッキ。ニッケルと燐の合金めっき。めっき浴中で還元反応を利用してめっき物の表面にめっき金属を析出させます。膜厚が均等で、非金属にも処理が可能です。深い穴や袋状のものも 奥までメッキがつき膜圧が管理しやすいメッキです。
二硫化モリブデン
デフリックコート(固定潤滑処理)とも呼ばれます。二硫化モリブデンを有機樹脂に分散、塗料状にしてコーティングします。乾燥皮膜ですが潤滑性があります。
ジオメット
金属フレークが層状に重なった防錆処理です。耐熱性・耐食性に優れ、水素脆性の心配もありません。クロムを使用しないため環境にもやさしいめっきです。アルミ材との異種金属腐食対策にもお勧めです。
ハイブリットフロンコート
下地処理を行った後に四フッ化エチレン樹脂を使用した塗料をコーティングしてその後にベーキングを行います。
耐食性・耐候性・耐熱性・耐焼き付き性・耐薬品性・耐摩耗性などの性能を併せ持つ万能焼付塗装。
ダクロダイズド
亜鉛とクエン酸を含んだ処理液につけ、塗装した後に加熱をして焼き付けます。めっき工程に酸を使っていないので水素脆性の心配がありません。
メッキ厚が厚いのでめねじとの嵌合に注意が必要です。耐食性・耐熱性に優れます
ディスゴ
水素脆性の心配がないクロムフリーの高耐食・高耐熱・高耐薬品処理。燐片状亜鉛を主成分とするベースコートを焼付けし、エポキシまたは珪酸塩樹脂を主成分とするトップコートを焼付けします。
SGメッキ
溶融亜鉛アルミニウム合金めっき
AL 5%、MG1%を添加した亜鉛浴でめっきされた溶融めっきです。めっき表面をAlやMgによる酸化被膜が覆うことにより、めっき皮膜を保護することができます。
KSGメッキ
溶融亜鉛ー錫合金めっき
亜鉛60%、スズ40%の溶融亜鉛合金めっきです。錫添加で流動性に優れ、遠心工法の為、めっきたまりができにくく、ねじ製品、可動部のある加工製品に最適です。
亜鉛アルミ合金めっき
溶接亜鉛メッキ(ドブめっき)にアルミニウム等を添加することで大幅に耐食性を向上させたものです。
キズがあっても犠防触作用により赤サビは発生しません!!
沿岸部や鉄道、高速道路、鉄塔など高い耐食性が求められる場所で採用が進んでいます。
ニューラスパート
下地に亜鉛ニッケル合金めっきを採用することで、ノンクロムでありながら優れた耐食性能を発揮します。従来のラスパートの強靭で緻密な複合皮膜構造はそのままに、環境に配慮した水系システムとして生まれ変わりました。
高耐食性、耐電食性、カラー化、損傷耐食性に優れた薄膜表面処理
ラスパート
金属亜鉛処理後、金属亜鉛層を不活性化し次ぎの表面焼成層との密着を良好にする化成皮膜処理、そしてセラミック系材料の皮膜塗装、焼付け処理という工程で強靭なセラミック系皮膜が傷を防ぎ、傷ついても複合皮膜なので鉄素地の錆びを防ぎます。
高耐食性、耐電食性、カラー化、損傷耐食性に優れた薄膜表面処理です
ラフレ
亜鉛・錫・アルミニウムの3種類の金属を含有する密着性に優れた無機系皮膜。クロムフリーで高耐食さらに超薄膜です。
黒染め
RoHS 〇
防錆力 △
黒染めは四酸化鉄皮膜、パーカーライジングはリン酸塩皮膜になります。どちらも表面にべたつきがあります。
鉄生地
RoHS 〇
防錆力 ×
鉄生地とは鉄の素地がそのままむき出しになっている状態のことです。錆びやすいので防錆油がついています。
コーティング材
JNステンコート
鉄メッキの錆にお困りの方に
亜鉛ニッケル合金めっき(ジンロイめっき+三価クロム化成皮膜)上に塗布することにより、ステンレスと同等以上の高耐食性とステンレスに近い独自の外観が得られる画期的なコーティング材です!
ステンレスの代替品として自動車部品等の防錆・外観の向上対策に効果的です!コストダウンにも!
デルタプロテクト
デルタプロテクトとはドイツで開発された六価クロム・三価クロムを一切含まない環境配慮型の薄膜型防錆処理コーティングです。
酸洗いや電解工程がないので水素脆性による遅れ破壊が発生しては困る商品の為の高耐食表面処理です。
ドラール
亜鉛メッキ鋼材切断面や溶接箇所等のタッチアップを目的としたクロムフリーの補修用塗料です。
薄膜でも高い耐食性を有するので、亜鉛めっき補修の他にも、鉄鋼材の切り口や溶接箇所の防食を目的としたクロムフリーの補修用塗料として用いられます。
RoHSとは?
RoHSとは「ローズ」と読み、ヨーロッパ生まれの環境規制「RoHS指令」のことを示します。
この「RoHS指令」では、電気・電子機器において、「鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、特定臭素難燃剤2種(PBBとPBDE)の6物質」の使用を禁止しています。 この規制は、EU(欧州連合)内の2006年7月に施行された法規制で、日本での規制ではありませんが、今後、地球環境破壊への配慮や人体への有害性を最小限にすることを目的とし、日本でも鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、特定臭素難燃剤2種を使用しないモノづくりが注目されています。
締結部品関連においては、六価クロム、カドミウム、鉛を使用しない表面処理、材質への移行が求められており、環境対応商品・環境配慮型などと呼ばれています。
規制値について
鉛・水銀・六価クロムは0.1wt%(1.000ppm)、カドミウムについては0.01wt%(100ppm)を上限値としていますが、適用除外規定により鉛は鋼材の場合は0.35wt%、銅合金材に場合は4.0wt%までの含有が認められています。(カドミウムは75ppm以下を受け入れ基準として認定するケースが一般的です)
六価クロムについて
RoHS指令の対象になっている6つの物質の中でも、六価クロムは、ねじの表面処理として多く利用されてきました。
主にユニクロ、クロメートメッキなどの亜鉛を下地とするメッキ処理において、亜鉛メッキ後にクロム酸化合物などの処理液に浸して表面へ皮膜をつけるのですが、この処理液に六価クロムを利用しています。
このほかにもドブ、クローム、黒亜鉛や耐食性の強い表面処理など多くのメッキが微量ながら皮膜に六価クロムを有しています。また、アルミ化成皮膜、電解研磨、クロム酸洗浄など多くの処理液にも利用されています。
この六価クロムには発ガン性があり 第一種指定化学物質の有害物とされています。クロムは単体や三価の化合物の状態では無毒ですが6価クロムが3価クロムへと自身を還元する際に強力な酸化剤として機能するために毒性を持ちます。刺激性、腐食性が強く、鼻の粘膜、皮膚に接すると激痛が走ります。体内に入ると、酵素などを酸化して生体の機構を狂わします。また、処理液は排水されるので環境に配慮するべく規制を受けます。
主なRoHS対応(環境対応)表面処理
- 三価クロメート
- 三価黒クロメート
- ゼロクロムS
- ゼロウィスカS
- 無電解ニッケル
- 溶融亜鉛
- 二硫化モリブデン
- ラスパート
- ノンクロム亜鉛メッキ白
- ノンクロム亜鉛メッキ黒
- 三価カラー
- ニッケル
- ハイブリットフロンコート
- ジオメット
- ディスゴ
- 黒ニッケル
- クローム
- 本金
- 三価ステンコート
- ラフレ
- 黒染め
- デルタプロテクト
ねじの表面処理Q&A
- クロメートメッキとユニクロメッキ、どちらが耐食性に優れるの?
- クロメートメッキのほうがやや耐食性に優れています。
より高い耐食性が必要な場合には、ストロンジンク(亜鉛-鉄合金メッキ)やジンロイ(亜鉛-ニッケル合金メッキ)も外観がクロメートに似ている点からよく使用されています。
- 溶接亜鉛メッキ(ドブメッキ)を使用する際の注意点は?
- 溶融亜鉛メッキ(高温で溶かした金属の池に部品を浸して、厚みのあるメッキをつけるメッキ方法)ではナットと組み合わせるときにメッキが厚く勘合出来なくなるので、ナットはオーバータップを利用して作った大きめの雌ネジ穴を持つ物を使います。ワッシャーなどは、浸した後に遠心分離器で余分な亜鉛をとばしていますが、重量の軽いものはくっついてしまうことがあります。
またメッキ方法上、ねじ山などに亜鉛が余計に付着して、ナットの入りずらいものなども発生してしまうことも稀にあります。このような場合には、固定したボルトにナットが入るところまでいれてナットをハンマーで軽く叩きながら廻していくと亜鉛はやわらかいのでつぶれて支障なく利用できるようになります。
- 環境対応品への移行を考えているのですがどれがよいですか?
- 下記主な代替対象メッキ一覧表をご参照ください
表面処理名 | 代替対象 環境対応表面処理 |
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有色クロメート 光沢クロメート 亜鉛黒メッキ | 三価クロメート 三価黒クロメート |
三価クロメート 有色クロメート 光沢クロメート 亜鉛黒メッキ | ノンクロム亜鉛メッキ(ホワイト) ノンクロム亜鉛メッキ(ブラック) |
ダクロダイズド処理 | ジオメット処理 デルタプロテクト処理 |
ラスパート処理 | ディスゴ処理 |
従来のステンコート処理 | 三価ステンコート処理 |
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